小児矯正症例

【小児矯正症例】「出っ歯、口呼吸を治したい」7歳の男の子のマイオブレースによる小児矯正治療

 

項目 内容
治療内容 マイオブレース(小児矯正)
年齢 7歳(治療開始時)
性別 男の子
期間 2023年10月から2年間
費用(税込) 検査費用11,000円
基本料金341,000円
毎月のチェック料5,500円
リスク・副作用 ・装置装着時に一時的な痛みや違和感が生じることがあります。
・成長や装置の使用状況によっては十分な改善が得られず、追加の矯正治療が必要になる場合があります。

 

1. 患者様の主訴・お悩み

当院の開院当初から、お口のメンテナンスのために継続して通院されている7歳の男の子です。
「出っ歯」と、日常的に口が開いてしまう「お口ぽかん」、口呼吸にお悩みでした。

歳の離れたご兄弟は、過去に別の歯科医院で矯正治療を受けた経験があります。そのため、お母様は矯正治療に伴うご家族の負担や、毎日のお手入れ・管理の大変さをよく理解されていました。そのうえで、「必要であれば弟も治療を受けさせたい」と前向きに考えておられました。

一方で、ご兄弟の受験時期とも重なっていたことから、治療を始めるタイミングについては迷われていました。そこで当院では、お口の成長・発育の状態を踏まえ、この時期から治療を始めることも選択肢の一つであることをご説明しました。 十分にご理解・ご納得いただいたうえで、小児矯正を開始することになりました。

 

2. ご来院時の状態と診断

お口の中を拝見したところ、上の前歯が大きく前方へ突出した上顎前突(出っ歯)が認められました。

また、普段からお口が開いたままの状態で、日常的に口呼吸をしていることも確認されました。耳鼻咽喉科で処方された薬を継続して服用されていることから、鼻炎などによる鼻づまりがあることがうかがわれ、口呼吸に影響している可能性が考えられました。

口呼吸が続くと、お口の中が乾燥しやすくなり、むし歯や歯ぐきの炎症のリスクが高まります。また、お口周りの筋肉や舌の正しい働きが妨げられ、顎の成長や歯並びにも影響を与えることがあります。

このような状態を踏まえ、今回は歯並びだけを整えるのではなく、口呼吸や舌・お口周りの筋肉の使い方も含めた改善を目指す小児矯正を行う方針としました。

【コラム】上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは
上顎前突とは、上の前歯や上あごが前方に出ている状態のことで、「出っ歯」と呼ばれることもあります。原因には、遺伝的な要因のほか、指しゃぶりや口呼吸、低位舌などの習慣が影響する場合があります。

【コラム】低位舌とは
舌が本来あるべき上あごの位置に引き上がらず、低い位置にとどまっている状態のことです。 口呼吸になりやすくなったり、顎の成長に影響を及ぼすことがあるとされています。

 

3. 治療

今回は、歯並びだけでなく口呼吸やお口の機能にも配慮し、当院の小児矯正の考え方に基づいて治療を進めました。

①事前説明
初回カウンセリングでは、治療の進め方について丁寧にご説明しました。
基本的にはマウスピース型の装置を使用しますが、お口の状態によっては補助的にワイヤー装置を使用する場合があることも事前にお伝えしています。また、ワイヤー装置の使用を希望されない場合は、マウスピースのみで対応可能な範囲での治療となることについても、あらかじめご説明しています。
費用についても、検査費用や基本料金、毎月のチェック料などを事前にご案内し、ご家族にご理解いただいたうえで治療計画を進めました。

②マイオブレースによる根本原因へのアプローチ
口呼吸や舌の癖、飲み込む際の舌の誤った動きなど、歯並びに影響を与える原因の改善を目指します。マイオブレースを用いて顎の健やかな発育を促すことを目的とし、その結果として歯並びの改善を目指す治療法をご提案しました。

【コラム】マイオブレースとは
マイオブレースは、取り外しができるマウスピース型の装置と、お口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを組み合わせて行う小児矯正治療です。歯を直接動かすことを目的とするのではなく、口呼吸や舌の癖など、お口の機能に関わる習慣へアプローチし、顎の健やかな成長を促すことで、歯並びの改善を目指します。

 

4. 治療時のポイント

治療が始まり、患者様はマウスピースの装着と毎日のお口の筋力トレーニングに真面目に取り組んでくれました。

①お母様の献身的なサポートポイント
ご兄弟が受けられた矯正治療とは異なり、マウスピースと毎日のお口の筋力トレーニングという初めての治療法でした。しかし、戸惑うことなく、毎日のご自宅でのトレーニング管理や、定期的な通院への付き添いを欠かさず行ってくださいました。ご兄弟の受験などで忙しい時期であったにもかかわらず、献身的にサポートを続けてくださったことが、治療を進めるうえで大きな力となりました。

②患者様に寄り添う柔軟な対応
治療開始から約1年後、お口の状態に合わせて補助的なワイヤー装置を併用しました。
その後、治療終盤に再度ワイヤー装置の使用をご提案した際、お母様から「前回は痛みが出たり装置が外れたりしたため、もう使用は希望しない」とのご相談がありました。

当院では、患者様やご家族の意思を尊重し、無理に治療を進めることはありません。ご希望を踏まえ、マウスピースで対応可能な範囲で治療を継続し、終了する方針としました。

 

5. 治療後・予後

患者様とご家族の意思を尊重しながら、マウスピースとお口の筋力トレーニングで対応可能な範囲でお口の環境と歯並びを整え、約2年間で治療を終了しました。

お母様は、ご兄弟が以前に受けられた矯正治療のご経験を踏まえながらも、当院の治療方針をご理解いただき、日々のトレーニングや通院に継続してご協力くださいました。そのようなご家族の支えが、治療を進めるうえで大きな力となりました。

また、ご家族のご協力のもと毎日のトレーニングを継続した結果、上顎前突や口呼吸など、お口の状態に変化がみられました。

当院では、一人ひとりのお悩みや生活背景に寄り添い、患者様とご家族の意思を尊重した治療を心がけています。子どもの歯並びやお口の癖についてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

監修

武知 幸久

【経歴】

1989年 徳島大学歯学部卒業
1997年 たけち歯科医院開業
2011年 医療法人社団翔志会 たけち歯科クリニック開設
京都市立病院 登録医