【小児矯正症例】「日常的な口ポカン、反対咬合(受け口)が心配」6歳女の子のお口周りの筋肉トレーニングと顎骨の拡大

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療内容 | 小児矯正(マイオブレース・バイオブロック) |
| 年齢 | 6歳 |
| 性別 | 女の子 |
| 期間 | 2年1ヶ月経過(治療継続中) |
| 費用(税込) | 精密検査 11,000円 基本料金 341,000円 (※当時の価格) |
| リスク・副作用 | ・毎日のトレーニングや装置の装着時間を守らないと十分な効果が得られない場合があります ・使い始めは一時的に装置への違和感が生じることがあります |
1. 患者様のご紹介(主訴・お悩み)
患者様は、6歳の女の子です。
ご両親は、普段からお口が開いていることを気にされていました。また、下顎を前に出す癖があり、今後の歯並びや噛み合わせへの影響についても心配されていました。
日常的にお口が開いている、いわゆる「口ポカン」の状態が続くと、お口の中が乾燥しやすくなり、むし歯や歯ぐきのトラブルにつながることがあります。また、鼻ではなくお口で呼吸する習慣が続くと、お口周りの筋肉や舌の使い方などに影響し、歯並びや顎の成長に関係する場合があります。
2. ご来院時の状態と診断
初診時にお口の状態や噛み合わせ、舌の動きなどを確認したところ、舌の力が強い傾向があり、また、食べ物や唾液を飲み込む際に舌や唇などを適切に使えていない「異常嚥下(いじょうえんげ)」がみられました。また、下顎を前に出す癖も確認されました。
舌の位置や使い方、下顎を前に出す癖は、歯並びや噛み合わせに影響することがあります。患者様のお口の状態や成長を踏まえると、将来的に下の歯が上の歯よりも前に出る「反対咬合(はんたいこうごう)」につながる可能性があると考えられました。
そこで、ご両親には検査結果とともに、子どもの成長期を活かして次の2つを軸に治療を進める計画をご説明いたしました。
①舌やお口周りの筋肉を整えるトレーニング
まずは、舌の位置や飲み込み方、下顎を前に出す癖などを整えるため、お口周りの筋肉を使うトレーニングを行います。
歯並びを整えることだけを目的とするのではなく、歯並びや噛み合わせに影響する可能性のある舌やお口の使い方にも目を向け、適切な使い方を身につけていくことが目的です。
②成長期に合わせた顎の骨の拡大
もう一つの治療計画として、永久歯が並ぶためのスペースを確保しやすくすることを目的に、成長期に合わせて顎の幅を広げる治療を行うこととしました。

子どもの時期は顎の骨が成長しているため、その成長を考慮しながら顎の幅を整え、永久歯が生えてくるための土台づくりを進めていきます。
このように、「お口の使い方を整えるトレーニング」と「顎の骨を広げる治療」の両方を行い、歯並びだけでなく、舌の使い方や噛み合わせ、顎の成長も確認しながら治療を進めていく方針としました。
異常嚥下とは、食べ物や唾液を飲み込む際に、舌や唇などを適切に使えていない状態を指します。通常、飲み込むときには舌が上顎に触れますが、異常嚥下では舌で前歯を押したり、唇や頬に必要以上の力が入ったりすることがあります。こうした舌やお口周りの筋肉の使い方が続くと、歯並びや噛み合わせに影響する場合があります。
反対咬合とは、噛み合わせたときに下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態で、一般的に「受け口」とも呼ばれます。歯の生え方や上下の顎の成長など、さまざまな要因が関係しており、舌の位置やお口周りの癖が影響している場合もあります。
3. 治療の流れ
①マイオブレースによるトレーニング開始
初診時の検査で、舌の力が強いことや異常嚥下、下顎を前に出す癖などを確認しました。
まずはマイオブレースを使用し、お口周りの筋肉や舌の適切な使い方、鼻呼吸の習慣などを身につけるためのトレーニングである「アクティビティ」から開始しました。
②生活の中にアクティビティを取り入れる
アクティビティへの取り組みが停滞した際には、「宿題のとき」「ご飯の後・お風呂の前」など、毎日の生活に合わせて取り組むタイミングを決めました。ご家族にも一緒に取り組んでいただき、継続しやすい環境づくりを行いました。
③バイオブロックによる顎の拡大
お口周りのトレーニングを継続した後、顎を広げるためにバイオブロックを使用しました。装置の状態やお口の変化を確認しながら、段階的に顎の拡大を進めました。
④バイオブロック除去後もトレーニングを継続
顎の拡大後にバイオブロックを除去し、その後も鼻呼吸や舌の使い方を維持するためのアクティビティを継続しています。日常生活でも、ご家族に協力していただきながら、お口が開いているときには声をかけるなど、機能や習慣の改善に取り組んでいます。
マイオブレースは、お口周りの筋肉のバランスを整えるために使用する小児用マウスピースです。歯を直接動かすのではなく、お口周りの筋肉や舌の使い方などに働きかけることを目的としています。
顎の成長を考慮しながら、顎の幅を広げることを目的として使用する取り外し式の装置です。顎の幅が十分でない場合、永久歯が並ぶスペースが不足することがあるため、必要なスペースを確保しやすくすることを目的として使用します。
4. 治療のポイント
①ご家族で取り組んだトレーニング
今回の治療では、ご家族の協力を得ながらトレーニングを進めました。
ご両親が治療に熱心に取り組み、お父様が一緒にトレーニングを行ったり、妹さんも真似をして参加したりと、ご家族で取り組める環境ができていました。小児のお口のトレーニングでは、ご本人だけでなく、ご家族が日常生活の中で一緒に取り組むことも大切です。
②毎日の生活に取り入れやすい方法を工夫
トレーニングを続けていると、気が向かなかったり、習慣化が難しかったりする時期もあります。そのため、トレーニングが停滞した際には、単に回数を増やすのではなく、普段の生活リズムを確認しながら続けやすい方法を一緒に考えました。「宿題のとき」「お風呂の前」など、毎日行うこととトレーニングを組み合わせることで、生活の中に取り入れやすくなるよう工夫しています。このように、ご家庭の生活スタイルに合わせながら、継続しやすい方法をご提案しています。
現在も患者様は前向きに舌のトレーニングを継続しています。
お友達が同じ装置をつけていることを知って喜ぶなど、周囲の環境も良い刺激となっているようです。
今後も成長に伴う歯並びや噛み合わせ、お口の使い方などを確認しながら経過をみていきます。
当院では、子どもの成長段階を考慮しながら、お口周りの癖や顎の成長に関する治療に取り組んでおります。子どもの歯並びや噛み合わせが気になる方は、京都円町たけち歯科へご相談ください。
監修
院長:小網 麻衣
経歴
2019年 徳島大学歯学部卒業
2019年 医療法人社団翔志会京都二条たけち歯科クリニックに臨床研修医として勤める
2020年 医療法人社団翔志会京都二条たけち歯科クリニック入社
2022年 医療法人社団翔志会京都円町たけち歯科クリニック院長就任
所属団体・ライセンス
日本顎咬合学会会員
Women Dental Academy for Implantology(WDAI)会員
研修実績
straumann ベーシックインプラントロジー
インビザラインGoシステム導入コース
Myobrace®System 導入セミナー
床矯正ベーシックセミナー
顎顔面矯正治療 ベーシックコース
ダイレクトボンディング 青島徹児先生 前歯・臼歯コース
ADI Practice course 5期
JIPI補綴コース

