症例

【小児歯科症例】「プールで前歯をぶつけて折れてしまった」9歳男の子のダイレクトボンディングによる修復治療

 

項目 内容
治療内容 前歯のダイレクトボンディング
年齢 9歳
性別 男の子
期間 通院3回
費用(税込) 55,000円
リスク・副作用 ・外傷による将来的な歯髄失活(神経が死ぬこと)・変色・神経の治療のリスク

・経年劣化による変色や欠けの可能性

・将来的に強度の維持が難しくなった場合、再治療(ベニアやクラウン等への移行)が必要になる可能性

 

1. 患者様のご紹介(主訴・お悩み)

9歳の男の子です。来院前日に友達とプールで遊んでいた際、水中で前歯をプールの床にぶつけ、歯が折れてしまったため、お父様と来院されました。

前歯は大きく欠けており、何もしていない状態での痛みはありませんでしたが、歯を押すと痛みがある状態でした。成長期のお子様であることも踏まえ、治療方法についてご本人と保護者様に説明したうえで治療を検討いたしました。

 

2. ご来院時の状態と診断

来院時には、外傷を受けた前歯の歯冠が大きく破折している状態を確認しました。診断は前歯部歯冠破折です。自発痛は認められませんでしたが、歯を押した際には痛みがありました。

歯を強くぶつけた場合、目に見える歯の破折だけでなく、歯の内部にある歯髄にも影響が及ぶことがあります。受傷直後には歯髄の反応が確認できても、その後に歯髄が失活したり、歯が変色したりすることがあり、状態によっては神経の治療が必要になる場合があります。そのため、外傷を受けた歯では修復処置だけでなく、その後の変化について継続して確認することが重要です。

初診時には、こうした外傷に伴う将来的な歯髄失活、歯の変色、神経の治療が必要となる可能性について、ご本人と保護者様へ説明しました。

今回は成長期のお子様であることを考慮し、外傷後の歯髄の状態を確認しながら、歯を削る範囲を抑えて欠けた部分を補う方法として、ダイレクトボンディングで修復する方針としました。

【コラム】歯髄失活とは
歯髄は、歯の内部にある神経や血管を含む組織です。外傷などの影響によって歯髄の働きが失われることを歯髄失活といいます。外傷後しばらく経過してから変化が現れる場合もあるため、継続的な確認が必要です。

【コラム】ダイレクトボンディングとは
歯科用の樹脂を歯に直接盛り重ね、欠けた部分などの形態を整える治療方法です。症例によっては歯を削る範囲を抑えられる一方、経年変化による変色や欠けなどが生じる可能性があります。

 

3. 治療の流れ

①治療前の資料採得(1回目)
模型を作製するための型取りと写真撮影を行い、修復に使用する材料の色を周囲の天然歯に合わせるため、歯の色調も確認しました。この際はお母様と来院されていたため、治療内容について改めて説明し、ご理解いただいたうえで処置を進めました。

②歯髄の状態を確認・ダイレクトボンディングによる充填(2回目)
歯髄生活反応検査を行い、歯髄が反応していることを確認しました。そのうえで、ダイレクトボンディングによる充填処置を行いました。

処置中は開口状態を維持しにくかったため、バイトブロックを使用して開口を調整しながら治療を進めました。歯科用の樹脂を用いて破折した部分を補い、前歯の形態を整えています。

③最終的な形態調整と研磨(3回目)
3回目の通院では、修復した部分の形態修正と最終研磨を行いました。形を整えたうえで仕上げの調整を行い、今回の治療を終了しました。

【コラム】バイトブロックとは
口を開けた状態を保持したり、歯や器具を保護したりするために使用する器具です。

 

4. 治療のポイント

①成長期であることを考慮した治療方法の選択
患者様は9歳で、乳歯から永久歯への生え変わりが進んでいる時期でした。
今後も長く使う永久歯であることを踏まえ、今回は歯を削る量を抑えながら修復する方法として、ダイレクトボンディングを選択しました。
治療前には類似症例の写真をお見せし、治療方法や注意点をご本人と保護者様に説明したうえで、治療方針を決定しました。

②外傷を受けた歯の歯髄を確認
外傷を受けた歯は、見えている破折部分だけでなく歯髄の状態を確認することも重要です。今回は充填処置を行う際に歯髄生活反応検査を実施し、反応があることを確認したうえで治療を進めました。

③将来的な神経の治療も考慮
外傷歯では、今後の経過によって神経の治療が必要になる可能性があります。今回は、将来的に神経の治療が必要となった場合に、歯の裏側から処置する可能性も考慮して修復しました。

 

5. 治療後・予後

最終研磨と形態修正を行い、今回の治療を終了しました。治療後には、ダイレクトボンディングは経年変化によって変色などが生じる可能性があることを説明しています。今後、修復部分の見た目に変化が生じた場合には、状態に応じて研磨や再治療を検討します。また、将来的にさらに大きな修復が必要になった場合には、成長段階や歯の状態を確認したうえで、ラミネートベニアやクラウンなどを含む治療方法を検討します。

外傷を受けた歯は、治療時に歯髄の反応が確認されていても、その後に状態が変化する場合があります。そのため、修復部分の状態だけでなく、歯の色や歯髄の状態などについても継続して経過を確認することが大切です。

当院では、お子様の成長段階や外傷を受けた歯の状態を確認し、将来的な治療の可能性も考慮しながら治療方法を検討しています。前歯をぶつけて欠けてしまった方や、外傷を受けた歯の治療を検討している方は、京都市の歯医者 京都円町たけち歯科クリニックへご相談ください。

 

監修

院長:小網 麻衣

経歴
2019年 徳島大学歯学部卒業
2019年 医療法人社団翔志会京都二条たけち歯科クリニックに臨床研修医として勤める
2020年 医療法人社団翔志会京都二条たけち歯科クリニック入社
2022年 医療法人社団翔志会京都円町たけち歯科クリニック院長就任

所属団体・ライセンス

日本顎咬合学会会員
Women Dental Academy for Implantology(WDAI)会員

研修実績

straumann ベーシックインプラントロジー
インビザラインGoシステム導入コース
Myobrace®System 導入セミナー
床矯正ベーシックセミナー
顎顔面矯正治療 ベーシックコース
ダイレクトボンディング 青島徹児先生 前歯・臼歯コース
ADI Practice course 5期
JIPI補綴コース